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投稿日 2026.08.03

急増するリチウムイオン電池の発火事故-スマートフォンにも潜む火災リスクと対策を解説

はじめに

近年、リチウムイオン電池発火事故が相次いで報じられています。

リチウムイオン電池は、私たちが日常的に使っているスマートフォンにも搭載されており、決して他人事ではありません。使い方を誤れば、スマートフォン火災につながるリスクを抱えています。

特に注意が必要なのは、就寝中の充電環境です。普段何気なく行っている習慣が、思わぬ事故を引き起こす原因になることもあります。

本記事では、リチウムイオン電池事故の現状と原因を整理するとともに、スマートフォンに潜む火災リスクと、その具体的な対策について解説します。

リチウムイオン電池とは?

リチウムイオン電池とは、充電して繰り返し使用できる二次電池(蓄電池)の一種です。

長寿命で高出力、さらに小型・軽量になりやすいという特徴から、以下のように多様な分野で活用されています。


電子機器: モバイルバッテリー・パソコン・ワイヤレスイヤホン・ハンディファンなど

電動車両: 電気自動車・電動アシスト自転車 など

家電・工具: 充電式掃除機・電動ドリル など

その他: 家庭用蓄電池(太陽光発電用など)・医療機器・人工衛星 など


便利な一方で、他の電池と異なり、燃えやすい液体(電解液)を内蔵している構造のため、誤った使い方や異常によって電池内部が損傷すると、発火事故につながるおそれがあります。

リチウムイオン電池の発火の原因は?

では、具体的にどのような要因が、電池内部の損傷・発火事故につながるのでしょうか。

リチウムイオン電池が発火する主な原因は、次の4つです。

 

①   過充電(許容量を超えた充電)

②   外部からの強い衝撃(落下・圧迫など)

③   高温下での使用・保管(直射日光・高温多湿な環境など)

④   製品の欠陥・不具合・劣化・分解など

 

これらの要因を背景に、リチウムイオン電池の発火事故は近年増加傾向にあります。

消防庁の調査によると、令和7年(1〜12月)には、リチウムイオン電池等からの出火による火災が1,297件発生しています。

  • ※廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車及びごみ処理関連施設から出火した火災を除く
  • ※令和4年~令和6年は、前回調査(令和8年1月29日公表)の集計結果の数値。

スマートフォンにも火災リスクが?

「リチウムイオン電池による火災」というと、件数の多さからモバイルバッテリーに焦点が当たりがちですが、このようなリスクは身近なスマートフォンにも潜んでいます。

実際に製品別の火災件数を見ると、リチウムイオン電池による火災は、モバイルバッテリーによるものが圧倒的ではありますが、次点として携帯電話機(スマートフォンなど)による事故が挙げられています。

スマートフォンの発火事故が起きやすい意外な状況

実は、スマートフォンの発火リスクが高まりやすい状況の一つが、「就寝中の充電時」です。「就寝前に目覚ましをかけるために充電したまま枕元に置く」という何気ない行動が知らないうちにスマートフォンの発火リスクを高めることがあります。


【発火リスクが高まる要因】

就寝中にスマートフォンを充電していると、充電が完了しても気づかず、長時間充電した状態が続くことになります。

スマートフォンには過充電を防ぐ機能が備わっているものの、充電中はわずかな発熱が続くことがあります。その状態で、布団や枕などに覆われることで熱が逃げにくくなり本体に熱がこもりやすくなります。

就寝中は異常に気づきにくいため、 こうした条件が重なることで自宅の火災リスクが高まる可能性があります。

火災を起こさないためにできる対策

このような発火事故を防ぐためには、まず「安全に使うための基本的なルール」を押さえておくことが重要です。日常的に意識したい対策としては、次のようなものがあります。

 

 ① 充電は机の上など、平らな場所で行う

 ② 起きている間に充電を行う

 ③ 熱くなった端末は一度休ませる

 ④ 衝撃を与えてしまった場合は、発熱が起こらないか注視する

 ⑤ 膨張や異音・異臭といった異常が生じた場合は、ただちに使用をやめる

 ⑥ バッテリーの劣化サインを見逃さない

 ⑦ 不要になったバッテリーは適切に廃棄する


今まで問題がなかったからといって油断せず、スマートフォンからの異常のサインを見逃さないことが大切です。

一方で、基本的な対策を行っていても、日常の使い方によってはリスクを高めてしまう場合があります。以下に、気づかないうちに事故の原因となりやすい「要注意な使い方」を紹介します。

要注意な使い方① 充電しながらの長時間操作を行う

バッテリーへの負担が増し、発熱や劣化を早める原因となります。

要注意な使い方➁ 非純正の充電器やバッテリーを使用する

一見問題なく使えているように見えても、安全性が十分に確保されていない製品も存在するため注意が必要です。

このように、基本的な対策に加えて、日常の使い方を見直すことも重要です。 両方を意識することで、火災のリスクをより大きく下げることができます。  

 しかし、どれだけ対策をしていても、予期せぬ不具合などによって発火が起こる可能性を完全にゼロにすることはできません。そのため、万が一発火してしまった場合の対応についても知っておくことが重要です。

実際に発火してしまったときの初期対応

万が一、スマートフォンやモバイルバッテリーが発火した場合は、何よりも安全の確保と人命の優先が重要です。無理に対処しようとせず、危険を感じた場合はすぐに距離をとり119番通報を行いましょう。

 比較的小規模で、安全を確保できる状況に限り、以下のような初期対応が考えられます。

発火時の初期対応① 炎が大きい・火花が激しい・煙が大量に出ている場合は近づかない

爆発や有害ガスが発生する可能性があり危険です。

発火時の初期対応② 小さな火で、安全な距離を保てる場合は消火器や十分な量の水で消火を試みる

リチウムイオン電池の火災は再燃の可能性があるため、しっかりと冷却することが重要です。

発火時の初期対応③ 消火後も発熱が続く場合は、水をかけて冷却を継続する

再発火を防ぐために温度を下げることが必要です。

なお、中途半端な量の水での対応は、蒸気や飛び散りによるやけどなど、かえって危険を伴う場合があります。

少しでも不安がある場合は無理をせず、速やかに119番通報を行いましょう。

まとめ

リチウムイオン電池の発火事故は年々増加しており、私たちが日常的に使っているスマートフォンも例外ではありません。特に、就寝中の充電熱がこもる環境など、無意識の使い方がリスクを高めてしまうケースも少なくありません。一方で、スマートフォンの発火は、発火事故を起こさないための対策や、使い方の見直しを行うことで、防げるものが多くあります。

しかし、バッテリーの劣化や製品の不具合など、完全に防ぐことが難しいケースがあるのも事実です。 そのため、「早期に異常に気づく」「被害を最小限に抑える」といった視点での備えも重要になってきます。

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